松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「ふたり」読了

今読んでいる本でびっくりしたこと。チッソを相手に訴訟を起こした患者達を、支援するための石牟礼さん達は「告発する会」を立ち上げる。渡邉京三と高校教師の本田啓吉が実務を担当するが、ほんの数人の最初のメンバーにびっくりしたわけである。高校教員1人…

「春の城」汽水域

汽水域という言葉があるが、河口付近などで海水と淡水が混じった状態の場所をいう。ウイキから得た知識だが、栄養分が豊富で、多くの生物を養っている。海水生、淡水生と思われる生き物も、一時期汽水域に暮らすものは多いらしい。 「春の城」に、海水と淡水…

「春の城」前の方2

一般的に島原の乱と言われるが、石牟礼さんは天草・島原の乱と天草を入れて書いている。天草の人たちもたくさん参加したせいなのだろう。乱の後天草の人口は半分になった。この一揆の参加者は3万7000人。全滅した。これを鎮圧した幕府側は実に12万人の兵を投…

「春の城」の前の方

「春の城」はまだ本編にたどり着かなくて、事前の取材の数々なのだが、これはね、自分で買って持ってないといかん本かなぁと思う。島原、天草の乱を書くにあたっての、石牟礼さんの意気込みはすごい。あらゆる資料を読み、行ける限り、現場に行き様々な人に…

「実録レイシストしばき隊」

野間さんの本は大変面白かった。前半の実録部分も面白いし、後半のインターネットの始まりの頃の状況や、そこでの背景となる考え方というものが、実に分かりやすく、ITに疎い私でも、なーるほど、であった。「正義」とは何かという部分では、先日読んだ「共…

新著2冊ゲット

森浩一先生の本を読みたいとおもっていたが、九州の事前学習もしたいし、野間さんの本と奇人の新著を買ってしまって、読む本が溜まってきてしまった。「実録レイシストしばき隊」は評判通りすごく面白い。私はツイッターを始めてすぐの頃から、何故か、野間…

珊瑚の話

今珊瑚について読んでいるが、驚くことばかりで唖然としている。「海の中で最も生物多様性の高いのが珊瑚礁である。珊瑚礁が海洋に占める割合はたった0.2%だが、海水魚の種の三分の一が、全海洋生物の四分の一が珊瑚礁にいる」!!!!辺野古の海を思い出さ…

動物の発生

本川達雄先生の、「ウニはすごいバッタもすごい」を読みだした。「象の時間ネズミの時間」で有名な先生である。この本の最初の方に、受精卵の細胞分裂のおさらいがあるが、このまあるいボールの一部を指で押し、凹ませるようにして原腸胚が出来る。ここから…

「100年のあとさき、米澤弘安日記の金沢」

姉の友人のご主人である砺波和年氏の書かれた、2013年出版の「百年のあとさき」を読んでいる。米澤弘安という加賀象嵌の職人の日記から、当時の暮らしのいろいろを読み解いている本である。弘安は1887年明治20年に生まれ、1972年昭和47年没日記は長く続けら…

適者生存

日本人について同調圧力とか、村社会とか、農耕民族だからとか、何かにつけていろいろ言われるが、実はこういうのはみんな猿の群れにすでにある。残念、日本人の専売特許でもなんでもない。笑猿も郷に入っては郷に従っちゃうのである。「適者生存」という進…

「共感の時代へ」

「動物の賢さがわかるほど人間は賢いか」を読んでいて、フランス・ドゥ・ヴァールが、「共感の時代へ」の著者でもあることを知った。この本は読んでいなかったが、存在は知っていて面白そうだと思っていた。先日図書館でこれも取り寄せてもらった。共感とい…

鴨居兄弟

勧められた鴨居羊子の本が、中央図書館にあったのでとってもらった。ご本人の個性も面白いけど、あの時代背景、周辺に出てくる人々の、自由闊達な雰囲気が素晴らしい。知ってはいたけど、現在の硬直したのっぺらぼうの、人々とは全く違って一人一人がそれぞ…

動物の賢さ、続き

動物には現在の感覚しかない、みたいなことを言う人もいるが、そんなわけないじゃんと、著者は言う。ほんとそう、私もそう思う。だって現在は一瞬で、過去から未来に続く道筋のほんの一部なんだから。 例えば野生の環境にいるチンパンジーは、ジャングルの中…

「すべての見えない光」2

目の見えない娘を連れて、パパがやっとの思いでたどり着いたのが、サン・マロという場所です。ここはブルターニュ地方、うさぎの出身地でもあります。海を隔てて向こうがイギリス、住民はフランス人というよりは、マロの人間で、ブリトンであると自覚してい…

「動物の賢さがわかるほど人間は賢いか」3

人間凄い!の人たちは、人だけが言葉を持っているという。確かにそうかもしれないが、言葉がなければ考えたりコミュケーションをとったりは、不可能なのか。著者は言語と認知は別物という立場であり、私はこの考えに納得できる。人間凄い!派が発狂する例が…

動物の賢さに戻る

「すべての見えない光」は読み終えたが、まだ考え続けている。知識を持っていることと、本当に知っていることの違いは何だろうか。 「動物の賢さ、」の方に戻ったが、いやはや延々と、人間は唯一無二の特別な存在である、と主張する者達のめちゃくちゃな、反…

「すべての見えない光」

姉が図書館で読んで、買い認定して、買って、私に貸してくれた本である。久々の小説である。第二次大戦の頃のフランスとドイツが舞台。表現としては静かで美しいお話であるが、戦争の恐ろしさを余すところなく表している。また生物学鉱物学工学、科学知識と…

「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」2

人間が一番偉い、もしくは特別な存在、という物語はキリスト教と深く結びついている。これは学究の世界にも深く染み込んでいる。たまに生物に関する本を読むだけだが、その私でさえ、何度か目にしたのが、アカデミズムの場面で、他の動物に擬人的な表現を使…

「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」さわり

この本もまた私の待っていた本でした。今、私に面白い本を教えてくれる神様がいる感じ。 進化認知学という新しい分野の本である。これまで人間を頂点とする、直線的な、賢さの段階を我々は信じてきたようだが、実はそれぞれの動物は、自分たちの生き方に即し…

無銭経済宣言」8

実践編に入ると、人間が暮らしていくために必要なあれこれを、様々な分野の無銭アイデァと参考になる意見、本などが紹介されている。以前世界でも記事になっていたし、チャヴでもこの問題が語られていたが、イギリスに関して言えば全土の実に70%が、ごく少数…

赤ちゃんの力

赤ちゃんといえば、「チャヴ」では、シングルマザーがすごく叩かれるわけです。家庭が崩壊していて躾が出来ていない、性道徳が話にならない、みたいな。髪振り乱したシングルマザーが、チャヴの典型として出てきて、テレビなどでも軽蔑の対象になる。これ本…

「無銭経済宣言」7

著者が言うように、社会的受容、承認欲求と言うものは、なかなかに根の深いものである。私の予想だが、ヒトが一人では生きられない、集団に受け入れられて始めて、生きていけるというタイプのサルである事と、関係があるのではないか。実際、自分がクソだと…

「無銭経済宣言」6

カネ無し生活、簡素な生活に移行しよう、というところまで行った人から聞かれる心配事で、最も多いのは、友達、家族、地域の反応に関するものだそうだ。「なんだかんだ言っても結局、お金を持たなければ、貧しいだとか人生に失敗しただとかの、烙印を押され…

「無銭経済宣言」4

我々がとらわれているものに、お金が大事という物語ともう一つ、人間が一番偉いという物語もあります。これらは繋がっている。 我々が時間も体力もすっかりみんな捧げて、お金を貰うにはこうするしかないと、ボロボロになりつつ思い込んでいる状態に対して、…

「無銭経済宣言」3

我々は自分の心に瞬時に浮かぶ感情や感覚みたいなもんは、生得的なもので自然な、ものだから、仕方ないと思いがちである。しかしそういうものも現在自分が採用している、(意識的にせよ無意識にせよ)ある種の物語に、影響されて沸き起こっているのである。 こ…

「無銭経済宣言」2

持続可能性を目指す「無銭生活」は、移行段階として「なるべくカネを使わない生活」を、経ていくことになる。これらは、似ているように見えて、「倹約生活」とは全く別物である。 資本主義経済とは、ものをできるだけ安く作ることに、たゆまず努力するもので…

反省中

人にものを伝えるのは本当に難しい。私は失敗ばかりを繰り返して、全然上達しない。両者の危機感に開きがあればあるほど、こちらは焦り、あちらは攻められているように感じ、いよいよ警戒する。空回りした挙句に、相手を傷つけ、ついでに自分も自信を失う。…

今朝の書評欄

今朝の朝刊はなかなか皮肉である。左ページにチョムスキーの新著、「アメリカンドリームの終わり」があり、その右に、ナイキの創始者自身の著作、「SHOE DOG靴にすべてを。」がある。ナイキはアメリカ資本の多国籍企業としては、典型的なグローバル企業であ…

無銭経済宣言さわり

「無銭経済宣言」はとてつも無く面白い。 私の言うことを聞こうとしない息子達は、一種の清潔教のカルトだとおもう。世界有数の細菌学者免疫学者の声を、(私の発言はこれらの人のうけうりだからね)簡単に無視するというのは、普通なら考えられない。一種の宗…

チャヴ4 終わり

チャヴを読んで、イギリスもやばいなぁ、政府のやることはどこも同じだなぁと思った。それでも読後感が割りに良いのは、イギリスの労働者階級の人たちが、これほど痛めつけられているにもかかわらず、まだ踏ん張っていること。反移民を煽る極右になだれ込む…