松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

米澤弘安日記、おしまい

日記に繰り返し、

何年にもわたって出てくる人がいる。
親族や友人以外で。
一人は便所のくみ取りに来てくれる、
農家の人、(一年分の排泄物は、
お正月の餅とかき餅用の餅米となって、
帰ってくるのですよ!!)
もう一人は松田のばあさま、
そして松崎のじいさま、この三人。
ばあさまは金石から海産物を売りにくる人、
じいさまは植木屋である。
じいさまが手入れするのは松だ。
前にも書いたが金沢では、
めっきり減ったとはいえ、
古いお宅の庭には、必ず立派な松がある。
私はこれがとても好きだ。
普通サイズの盆栽というか、
松崎のじいさまのような人が、
百年以上も手入れし続けてきた松、
自然と人の手のコラボレーションである。
見るといつも圧倒される。
のびのび育った普通の松も好きなので、
赤松の幹に夕日が当たって、
燃えるような赤に見える時など、
あー、今日はいいもの見たなぁと思う。
年を経た松ほどの存在感は無いが、
実は私は菊花展もすきなのです。
弘安の弟清二も菊を作ってました。
あれもコラボですがどちらかというと、
より繊細な超絶技巧です。
11月に入ると新宿御苑で、
恒例の菊花展が始まります。
かんちゃんでも誘って見に行きたいなぁ。

さてこの本はここらでおしまい。
あちらの人は前田の殿様の事を現在でも、
なんとなく親しげに話す。
ちょっと驚くほど。
統治者としては巧かったんだな。
しっかり搾取しながらも、お楽しみは与え、
ガス爆発を抑えていた。
自民党とは大違いだ。
これも教養の差か。笑
アイスランドの例でもわかるように、
しっかり余暇を楽しみ、
リフレッシュすれば、
仕事へのモチベーションは上がり、
かえって能率はよくなる。
弘安も良い仕事を残したらしい。
楽しく読める本だが、きっちり取材した、
力作である。

「百年」のあとさき
米澤弘安日記の金沢
砺波和年著 北國新聞社