「世界の使い方」
ニコラ・ブーヴィエの本は、
本当にとても面白いです。
少し前に読んだ、
逝きし世の面影の中に出てきた、
外人の皆さんを思い出します。
全く違う文化圏に行った時、
人々の服や道具や、工芸品などを、
興味深く見て、称賛すらする訳です。
ところが、
人に際しては、
その振舞いなどにたいしては、
品がない、失礼だ、恥知らずだと、
突然不快感を表すことがある。
人の作り出す物も、言葉も、作法も、
みんな長い時間をかけてできた、
文化の一部なのですが、
人の行為や発言に関しては、
自分の属する文化圏でのありかたが、
当たり前常識当然と、思いやすい。
なんでなんんだろう。
著者には、そういうところが無く、
多少あったとしても自覚的である。
そこが文化人類学者顔負けなところ。
最後に訳者が書いていて、
ずばりその通りだなあと思った。
「本書の魅力は何よりもブーヴィエの物事のとらえかた、世界の受け入れかたにあるだろう。異世界を見下すことはなく、かといって、安直な文明批判に陥ることもない。善悪を超えて世界をあるがままに受け入れている姿はすがすがしさを覚える。」
訳者の山田浩之氏は、
著者の魅力を理解し、共感をもって、
どことなく楽しげに翻訳している。
本の中身については、
また少しずつ紹介します。