松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「ヒア・アンド・ナウ」

この本はだいぶ前に姉に借りて、

読まないまま図書室に潜んでいたところを、
先頃私によって再発見された。
クッツェーとオースターの、
往復書簡である。
二人とも私の好きな作家で、
まことに面白い。
オースターがユーモアをきかせた、
気の利いた一言を巧みに繰り出す人なのは、
わかっている。
しかし、クッツェーの方も興味深い。
クールで鋭い上に、
ああ見えてこんな事を!
と言う意外性もあって、
実際笑ってしまうこともある。
私は今まで往復書簡というものを、
さほど面白いとは思っていなかった。
でもそれは、その二人によるんだね。
テーマは友情やスポーツ、
パレスチナ問題など、多岐にわたる。
重いものから楽しいものまであるが、
二人の知性がビシバシ行き来して、
何とも言えず小気味いい。
さまざまなテーマを熟慮し掘り下げ、
それを見事に言葉で言い表す様には、
圧倒される。
互いに尊敬し合い愛し合っている二人は、
手紙で語り合う事を心から楽しんでいる。
羨ましいかぎりである。
内容については、
付箋もだいぶ付いているし、
また紹介するかもしれない。