松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

薔薇の名前再読中

薔薇の名前は下巻に入った。

映画にもなったから知ってる人は多いと思う。

元異端裁判の審問官ウィリアムと、

その弟子の見習修道士アドソが、

ある僧院での連続殺人事件の謎に挑む話です。

1300年代のイタリア、

僧院の異形の巨大図書館が主たる舞台。

物語は推理小説のようで、

面白いのですが、背景には、

キリスト教界隈のややこしい話が、

たっぷり出て来ます。

ちょうど教皇アヴィニョンにいる頃。

私はキリシタンではないし、

信仰と言うものとも縁が薄いのですが、

大きくなるにつれ、

権力やお金と結びつく腐敗は、

普遍性があるので面白くもあります。

現状批判する新しいセクトがたくさん出て来て、

それらの中の都合の悪いものが、

異端という事で排除されるわけです。

祈りは教会でも森の中でもいいと言う人や、

財産は一切持たず、ボロボロがいい人たち。

これ日本のかつての仏教界隈とそっくり。

前者は法然の仲間たち、もう一つは、

一遍の仲間たちなんかと、

それぞれ同じような主張だと思う。

人間のやる事考える事は、

どこでも同じだし時代的にも近いし、

収斂進化みたいだ。