松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

嘘2

動物は嘘をつくだろうか。
言葉を持たないから言葉の嘘はつけないわけだが。
また猿の話で申し訳ないが、
群れでチンパンジーを飼っている場合の実験。
下位の猿一匹だけに、餌を隠すところを見せる。
朝一斉に猿たちを外に出す。
見ていた猿は、餌のありかを何事もなかったように、
通り過ぎる、そして一群が遠くに行った時、
大急ぎで戻ってこれを食べる。
猿の群れでは複数でいる状態で発見された食べ物では、
上位の猿が優先権を与えられる。
下位の猿は僅かなおこぼれしかもらえない。
一方、1人で発見し食べ始めたものについては、
非難される問題とはならない。
この状況をつぶさに観察していた著者は、
その猿はほんの少しの迷いも見せず、
隠し場所に一瞥もくれずさり気なく通り過ぎたと。

猿などの動物は前にも書いたように、
微妙な表情の変化やボディーアクションを見逃さず、
かなり正確な情報まで読み取る。
その猿を相手に隠し通すには、
事前の計画性と自身の感情行動に対する、
完璧なコントロールが必要だろう。
なかなかである。
これを嘘とは言わないかもしれないが、
仲間を騙すことを目的にした行動であるとは言える。

嘘の目的はほぼほとんどが自己愛と絡む。
多くの嘘は自分を守るため自分が有利になるために、
使われるのではないかと思う。
自己愛が誰にでも基本装備されている以上、
誰もが嘘をつく動機はある。
しかし体が嘘を嫌うようにできているところを見ると、
嘘は避けるべきものであるという事も、
基本装備に入っているのではないか。
社会性という分野に関わる装備なのかもしれない。