暗く、重く、
小説はじりじりと、
暗く重くなっていきます。
これはずいぶん昔に読んだから、
あまりよく覚えてなくて、
その上歳をとって、
読み方が変わってきているのかな、
新しく読める感じ。
小さい閉じたコミュニティの、
逃れようのない陰湿さは、
どこにも多少はあるとは思うけど、
地理的気象的な環境も、大きいのではないか。
山深いほど寒いほどきつい?てことはないか。
なんとなく温暖な海辺の村の方が、
人が明るいような気がするんだけど。
昔見た映画にっぽん昆虫記でも、
息苦しくなるような空気が伝わってきた。
あれは雪の降るところだった。
若者が都会に出るのは、
お金や仕事のことだけではなく、
こんな重さから抜け出したいと言う、
気持ちではないかと思っていた。
しかし、それなりに条件が揃わないと、
出ることも叶わない。
たぶん日本だけとは言えないだろう。
以前読んだ、シチリアの短編集にも、
同じような重苦しさがあった。
都会の、人の多さ故の関係の希薄さは、
気楽で自由というわけだが、
それは無関心、冷たさでもあるから。
人間関係はなかなか匙加減が難しい。