松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

元気を振り絞ってみようか、

資本主義経済にスケールメリットというものがある以上、
労働者が幸せになる事はないんだろう。
どんな大企業も、もっと大きいとこに、
吸収合併されてしまうのが心配で、
従業員にたっぷりお給料をあげてなんかいられない。
お給料は上の数人だけにたっぷりあげて、
あとは内部留保に回そうってなる。
投資に回して増やさなくちゃとなる。
そうして最後の巨大企業が一社だけになり、
まわりには累々と死体が転がるまで、
肥大化を止める事はできないんだろう。

消費税が上がってポイントで還元ていう案が通れば、
また個人商店がまとめて消える。
この先数年で国内の小さな会社や、
個人経営のお店、小規模な農家や漁師さんなど、
そういうものがごそっとなくなり、
我々は大手チェーンのスーパーなど、
あとはネット通販、以外の選択肢はなくなるだろう。
もともと業界の小さい、職人を支える道具類は、
すでにどんどん無くなっているから、
作れる人がまだいても道具と材料が揃わず、
文化的価値の高い工芸品の類は、
ごそっとなくなってしまう。
何百年という単位で積み上げてきたものが、
我々の代で死に絶える。
それらのものに価値を見出さない人は、
気にも留めないかもしれないが、
私には耐え難い苦痛である。

今年も静嘉堂文庫の卓上カレンダーが出来たが、
岩崎弥太郎の孫の小彌太は、父彌之助の集めた物を、
きちっと全部保存した。
大金持ちのぼんぼんにも彼にしかできない事があり、
それができたという事は立派なことである。
逆に自分の食い扶持も稼げない人も(私を含む)
自己責任と責められる必要はない。
そうなれば病気や怪我や障害を持つ人は生きていけない。
堂々と人の助けを借りて、
その人にしかできない事を、できる限りやればいい。
人はみんな違うし目の付け所が違うんだから、
絶対にやれる事はある。
海辺の小さな砂つぶの隙間に溜まるちょびっとの空気で、
そこにしか住めない微細な生物が生きているように、
それぞれが自分の隙間を見つければいい。
大きいことだけがメリットになると言うのは、
地球的には大間違いである。
手当たり次第なんでもいいから、
資本主義の暴走を止める努力をしないと。