松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

ピダハン読了

一気に読んでしまった。

私用にあつらえたような本。

言語学文化人類学の分野の、

フィールドワークである。

ピダハン人はアマゾン川の支流に住む、

なんか可愛い感じの人たちである。

表紙の写真を見ても、

こう言う顔のおじさんや子ども、

みたことあるな、と思う。

何語とも似ていない難しい言葉を話し、

外からの文明の利器に飛びつかない、

保守的で頑固な人たちなので、

長く詳しい調査や研究の対象とならなかった。

著者のダニエルLエヴェレットは、

福音派の宣教師としてやって来た。

福音派と言うのは、聖書は、

唯一無二の真実であり、世界中の人々は、

聖書を読んで救われねばならない!

と、まこんな感じの人たちで、

熱心に、マラリヤも大蛇も恐れず、

遠路はるばるアメリカから来たのである。

彼は三人目らしい。

聖書のピダハン語版を作るために!

宗教は求める人に開かれるべきだが、

必要としない人に、

押し付けるのはどうかと思う。

その上暑苦しい良い人さたっぷりに、

救ってあげるんだ、と頑張るのも、

どうかと思う。

そんな私的にはどうかと思う筆者であるが、笑

最初から文章の感じは、

全然嫌味がなく、わりと好感をもった。

この本を書いている段階で、

既に彼は信仰を捨てている。

ピダハンの文化全体への理解が進むと、

自然にそうなっていった。

必然だったろうと思う。

奥さんはやはり宣教師の娘で、

筆者を凌ぐほどのバリバリの信者であったので、

家族とも別れる結果になる。

しかも信じることをやめてから、

それを告白するまで、

なんと20年かかったと

この研究に関わる全てを教団のサポートで、

やって来たわけだ。

苦しかっただろう。