松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

再読最終回

強い酸性の胃の中で生きるピロリ菌は、

自分が居られるレベルに、
酸性度を維持してるわけです。
そこちょっと可愛い。
胃酸は悪いばい菌を殺すシステムなので、
これがピロリ菌の不在によって強くなりすぎ、
自分の食道の細胞を攻撃するのは、
やはり自己免疫疾患の一つと言える。
また、炎症を起こし、これを治す、
を繰り返しているのは、
少し避難訓練に似ている。
ヒトが歳とって治しきれなくなると、
炎症が癌に発展する。
これは本人の自然免疫が弱ってきたからで、
そろそろあの世行きかなという印。
ヘルペスウイルスが体に潜んでいて、
老齢になると出てくるのに似ている。
これもリトマス紙的である。
そう言うお知らせがあれば、
なる程了解した!
と言って死ぬのがいいと思う。
ピロリ菌を減らしてきたのは、
ずばり清潔な文明です。
20世紀以降の胃はピロリ無し。
これが子どもや若い人の、
病気に繋がっているのは確実で、
ものすごく悲しい気分になる。
ピロリ菌はそこらにはいないので、
人、人でゲットする以外ないから、
次の世代には確実になくなる。
抗生物質は大量の感染症による死者を無くし、
複雑な外科手術を可能にしたが、
その弊害もまた強烈なものがある。
抗生物質の大量投与で撹乱された、
腸管免疫の問題も恐ろしいほど深刻。
コロナがとどめの一撃で、
子どもの免疫力はさらに下がっただろう。
近代に始まった子どもの病気の多さ…

この本の紹介はこれでおしまい。
どんな真実も資本主義の欲望の前では、
弱い。
何も付け加えない、よく歩く、などは、
肥料を撒く、薬を飲む、など、
商品がらみに常に負けてしまう。
商売上手にはかなわない。
脱成長はなかなか難しい。

「失われてゆく、我々の内なる細菌」
マーティン・J・ブレイザー著