松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

ネトウヨ化の危険、クッツェー

人間は自分は間違ってない、

自分は悪くない、と思いたい生き物なので、
これはしょうがない事だと思う。
ネトウヨは自分の考えを、
正当化してくれるものだけを、
選んで見聞きして行くので、
どんどん煮詰まったネトウヨになってしまう。
でもこれは誰にでも当てはまる。
どうしても自分に都合の良い話ばかりを、
信じたがる。
賢そうな偉い風な人でも、
レベルは違っても傾向は同じ。
溢れかえるさまざまな情報の中から、
冷静に選んで判断するのは、
ものすごく難しいし、
常に自分を客観的に厳しくチェックしないと、
ネトウヨと大差ない話になってしまう。

クッツェーの冷静クールな批判精神は、
どこから来たかと言えば、やはり、
南アフリカで育ったと言うところだろう。
オランダ系植民者の流れである。
支配者と被支配者がくっきり分かれる、
植民地では、それぞれの階層の価値観に、
どっぷり浸かった人が大半だろうが、
たまに相対的に見る人がうまれる。
それに言葉の問題は大きい。
彼は言語習得能力が非常に高い人で、
家でのオランダ語英語のほか、
アフリカーンスの言葉も覚えた。
長じては、ドイツ語オランダ語フランス語、
ラテン語なども習得、
こうなると、
似たグループの言葉はなんだって、
そこそこわかることになるから、
なんでもござれである。
言葉は考え方を表すものだから、
さまざまな考え方に対する理解は、
否応なく深くなるだろう。
書簡は、英語で書かれているが、
他の文献からの引用などは、
その原典の言語で書いている。
日本の翻訳者はルビで元の言葉の、
カタカナ表記をつけると言う、
芸当?配慮をしてくれてて、
言葉を知らない私は、これは、
フランス語、ドイツ語で書いてるんだな、
と言うふうにわかるだけだ。
元の言葉にはやはり翻訳不能な、
オリジナルのニュアンスがあると言うことで、
相手の言語能力と合っていないと、
成り立たないことだが。

人間にとっては、一つの世界に、
何も疑わずどっぷり浸かって暮らすのが、
一番快適な楽な生き方だろうから、
こう言う人は、それなりに、
大変だろうなぁと想像するが、
貴重な人材であることは間違いない。