松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

暴力

いつも紀伊国屋に行った時は、
scriptaというフリーペーパーをもらうことにしている。
残念にも平出隆の連載は終わってしまって、
もっか、吉田奈緒子さんの連載が楽しみ。
彼女は半農半翻訳の、あの「無銭経済宣言」の訳者である。

著者のマーク・ボイルは、次なる作品を書いて、
またまた彼女が訳すらしい。
これがだねぇ、この人さすがに私のお気に入りだけあって、
すごいんだ。
題名はまだ仮だけど「モロトフ・カクテルをガンディーと」
というのだが、この聞きなれないカクテル、
火炎瓶のことを言うのだそうだ。
要するに「非暴力不服従」に異議を唱える本らしい。
実は私は暴力の定義を考え直す時が来ていると、
ずっと思っていた。
特に我が国では、政府に異議を申し立てるコールまでが、
暴力的であると批判される。
行き過ぎた丁寧語がもてはやされ、
ちょっとおかしいんでないの、と思う。
暴力はぶん殴るとかズドンと撃つことばかりか?
この言葉自体大嫌いだが、経済制裁だって命を奪う。
日本の数万人の自殺者だって、
政権と政策と経済の仕組みによる虐殺だとも言える。
首相は大量の国民を虐殺する独裁者と言えなくもない。
我々は極端な非対称の立場にあって、
お利口に非暴力を唱えているべきなのか。
しかしこういうことは表立っていうには、
かなり勇気がいるだろう。
マーク・ボイルは勇気のある男である。
私の見立てに間違いはなかった。
早く読みたいやんか、
と気が急いている暴力的なわしである。