松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「世界5月号」より

時々買いそびれてしまうのだけど、
やはり世界は読まねばいかんなぁと思う。
5月号も充実の内容であった。
この前チラッと書いたけど、内田さんの
「歪められる政策形成 企業ロビィ新たな利権構造」
はなかなかにやばい話であった。
政策を自分たちに有利なものにするために、
企業はたいへんなお金を使って、
政治家に圧力をかけるわけだが、
アメリカなどでは企業のロビィ活動の、
透明性を確保するための法律があり、
それらを監視するNPOなどの組織もある。
日本にはそれらのものは何もないところに、
海外の巨大コンサルがロビィ活動のために、
乗り込んできていて活発に動いている。
水道やカジノなどのすでにいろいろ勝ち取っている模様。
内田さんはロビィ活動については日本一詳しいと思う。

あとツイッターのTLで見かけていたが、
よくわかっていなかった関西の生コン会社の話。
海渡さんの記事でやっと意味がわかった。
中小の生コン会社が作っている組合の、
労働者を守る運動や申し入れなどを、
仕事の妨害だとして、
組合員や関係者を大量に警察が逮捕拘留している話。
はっきり言って組合潰しであるが、
大手ゼネコン側に立って警察が平気でこれをやっている。
うーーんである。

ハンセン病の元患者の聞き取り調査の連載がある。
こう言う名もない人たち、
貧乏な家に生まれ病気になり、
強烈な差別と偏見の中で生きてきて、
それでもなお強く優しい心を持ったまま生きてきた人たちの、
語りを読むと引き込まれる。
私は一度だけだが、
多摩全生園というハンセン病の施設を尋ねたことがある。
強烈な差別と人権無視の隔離だったからね。
こう言う話を読むと人間の凄さの幅の広さというか、
人はこんな風にも生きられるのかと感動する。
小熊英二の、「生きて帰ってきた男」という、
実の父親からの聞き書を思い出す。
普通の人の生きてきた道筋は、どれも一様ではない。
当時の法律や時代の空気、世間の常識みたいなものの影響を
色濃く受けながら、
それぞれが精一杯営々と積み重ねてきた日々である。
そういうものは間違いなく凄い。
お金持ちでも有名人でも天才でもない、
普通の人たちなんだけど。

他にもいろいろあるから続きはまた明日書く。