松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

イギリスの生垣

木の本に出てきた、

生垣の話が面白かったので少し紹介してみる。

生垣はうちにもあるし、どこにもあるが、

ここに登場するイギリスの生垣は、

ちょっと別格である。

萌芽更新で得られた、

細目と少し太めのハシバミの枝を使う。

いきり立った牛も、

子うさぎのような小さな動物も、

くぐれないようにできる。

生きた木を杭とハシバミで編んだ、

工芸品である。

その技術は紀元前6000年に遡ると。

19世紀の終わりに、

ワイヤーフェンスに変わるまでは、

1974年の時点で、

英国だけで992000kmも残っていた!

作り方を簡単に書くと、

サンザシなどの紅葉樹を並べて植える。

背丈が150から180センチになると、

ナタで根元近くに切り込みを入れる、

半分切れて半分繋がってる状態で、

30から50度の角度に倒す。

こうして隣の木に斜めに寄りかかるようにして、

ハシバミの杭を入れ、

もっと細いハシバミで、編み込む。

切った場所から新たに芽が出て、

生垣は厚く密に育っていく。

現在最も古い生垣は、

ロンドン近郊のものが1000年、

ソールズベリーのものが1200年を経ていると!

ソールズベリーという名前どっかで聞いた、

と思ったら母の愛読書でもあった、

修道士カドフェルに出てきたはず。

カドフェル様が生きていたころに、

この生垣はとっくにあったんだと思うと、

なんだかおかしいねえ。

50年に一度くらいの頻度で、

編み直す手間があるが、

鉄のフェンスと比べてどうだろう

生垣は成長しながら、

他の木もいろいろ生えてきたりして、

高さ180センチ超、幅も180を超える。

これは細長い森となる。

ここは大量の昆虫と野鳥の、

餌場、棲家となる。

90メートルに一個鳥の巣があるとして、

計算すると、イングランドの生垣に、

1000万のつがいがいることになる!

萌芽更新している限り木は生き続ける。

1200年なんかで驚いていたらダメで、

本の最後の方に、

もっとずっと不滅の方が出てくる。笑