松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

再読から、ピロリ菌

今回の騒動で、この本の内容が、

前よりずっとよくわかる。
ピロリ菌の話は、
医者や学者や薬屋の雰囲気を、
生々しく伝えている。
著者たちはピロリ菌が、
喘息、花粉症、皮膚炎などの、
自己免疫疾患を抑制する事を、
はっきり証明する。
しかし、
ピロリ菌は胃癌の原因であるという研究が、
ノーベル賞をもらったと言う事実が、
先行していたため、
この研究は全く歓迎されない。
ピロリ菌は悪、退治すべし、
と薬屋さんも張り切り、その薬の研究に、
多くの資金援助がでていたため、
誰からも無視され異端視される。
ピロリ菌は非常に古くから、
ヒトの胃の中で共に生きてきた細菌である。
胃の中は強い酸性で、腸と違って、
細菌の数は極少ない。
昔はどこの国でも、母親が、
口で噛んだものを赤ちゃんに与える習慣が、
あったため、
早くから装備することができた。
それが今やピロリ菌のいない子どもは多く、
大人も胃がんを避けるためにこれを排除する。
胃酸は強いので、体に入ってくる、
さまざまな菌をやっつけてくれるが、
ピロリ菌はその中に長く住んで、
この胃酸をコントロールしている。
これがいないと胃酸は過多になり、
逆流によって食道をいためる。
過去60年で食道ガンは6倍にふえている。
ピロリ菌は、炎症を引き起こすことで!
胃のホルモンを刺激し、
胃酸の生産をコントロールしている。
著者は、正常とは何か、と問う。
軽微な炎症は、胃の日常の一コマである。
これを病気だと言って回避しようと言うのが、
一般的な人の考え方。
私は庭の木や虫とおんなじだなぁと思う。
レモンの木は青虫に食われるが、
その刺激で新しい芽がどんどん出る。
レモンの木は死んでしまわない。
青虫は災難だが、それを含めて、
レモンの木の人生は続く。
身体の中もそんな庭の様な様子だろう。
正常と異常、病気と健康、
こう言う白黒の単純な見方しかできないのは
人間だけではないか。