松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

母の味

新宿に出た帰りにハルクのお魚屋さんを覗いたら、
見事な鱈の子があったので、購入に及び煮た。
田舎では冬場に鱈をよく食べる。
私は子どもの頃から煮た鱈子が好きだった。
それの最後の1つを夕ご飯に食べながら、
これって子どもの時に食べたやつと、
完全に同じ味だなぁとしみじみ思った。
これの作り方を母に教わった記憶はない。
濃いめのかつおダシで煮るというのは、
ちらっと小耳に挟んだかもしれない。
それにしても完全に一致である。
私は黒豆が好きで毎年大騒ぎでこれを煮るが、
母は黒豆が好きではなかったらしく、
子どもの頃のおせちに黒豆は登場しなかった。
大きくなって大げさな料亭の瓶詰めとか、
もらってもちっとも好きではなく、
いろんな作り方を見てやってみて、
自分で作ったのは好きだと言うことがわかった。
と言うか今も自分の以外の黒豆は嫌いである。
東京に住むようになってからはお正月は実家にいないのだが、
ある時、明けて少し経った頃に帰ったことがあった。
その時残り物の黒豆があった。
お豆をもらったとかで母が煮たもの。
これを食べてみてびっくり、
私の黒豆にあまりにもそっくりで。
美味しかった!
なんか知らんが私の舌はお母さんの料理で、
完全にでき上がっていたんだなぁと、
本当に驚いたものであった。
母の味と言うものはこうやって繋がっていくものなんだね。
きっと娘も、
どことなく私と似た感じの料理を作っているのだろう。
そう考えると面白い。