松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

オスもメスも

また猿の共感の話に戻るが、
動物は表情やボディーランゲージから、
多くのことを読み取る。
苦しそうな悲しそうな仲間には、
瞬間的に手をさしのべる。
こういう共感する能力は動物の進化の、
ごく早い段階で埋め込まれたもので、
もちろん人間にもある。
実は我々も表情から多くを読み取っている。
パーキンソン病という筋肉の麻痺が起きる病気があるが、
この人たちの看護に携わっている人の話が、
引用されていた。
顔の表情筋に症状が出たひとは、
他の部分の不自由な人たちの中で、
必ず孤立してしまう。
表情が読み取れない人には誰も近づかなくなり、
話しかけたとしても、
エスかノーのごく限られた会話しかしようとしなくなると。
この孤独感は非常に深く、
そのことで自殺する人もいるという。
人もまた表情に依存しているのである。
しかしこの本能的な共感の能力は、誰にでもあるが、
受け取る入り口を閉ざすことができるものであるらしい。
いわゆる見なかったことにできる。
これには性差があるという実験結果も出ている。
男性の方が、入り口を閉じる傾向が高い。
利害、相手とライバル関係にあるなどの場合は、
見て見ぬ振りをする率が上がる。
母親が子育てする時に、子どもの表情は、
安全や健康に関する非常に重要な情報なので、
メスの方が共感能力が高いのではないかという。
人種差別などはそもそも仲間ではないという認識を持つことで、
入り口を閉じる理由になるのかもしれない。
多分現在の日本の状態というのは、
お金など様々な利害が絡むと、
同情思いやりなどの感情を、
持たないように入り口を閉めてしまう。
オスもメスも。