松井なつ代のやま

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鬼の研究 一つ目の鬼

異族の中には、すぐれた知識をもつものもあり、天文の知識などでいろいろ未来のことを予知したり、あるいはすぐれた医術の知識をもつものなどもあった。西域からは、そのような異能の者がきた。そのようなものを神に仕える【臣】とするとき、片目を破ることがある。

白川静botより

この前の「鬼の研究」に、
日本の書物に初めて出てきた鬼として、
出雲国風土記 天平5年(733年)にある、
一つ目の鬼の話が出てくる。
一つ目小僧の原型と思われるが、
あの真ん中にいっこ目があるイメージではなく、
片目というのが本当である。
柳田國男の詳しい引用が出ているが、
これはこの白川さんの話と内容はほぼ同じである。
神様の所有物としての刻印であり、
逃げないようにという対処でもある。

わたしはすぐ白川さんの本の話を思い出したが、
どこに書いてあったかわからなかった。
そしたらうまい具合に白川静botにこれが出てきた。
臣という字はもともと一つの目の形である。

追われてか、逃げてか、山に入った片目の臣が、
里人から鬼と恐れられたのではないか。
山はアジールであったから、
世間で生きていけなくなったものたちが、
隠れ住んだものであろう。
これも寂しく寒々とした話である。