松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

白川静の言葉、オリンピック

伝統は運動をもつものでなければならない。運動は、原点への回帰を通じて、その歴史的可能性を確かめる。その回帰と創造の限りない運動の上に、伝統は生きてゆくのである。


これは白川静の言葉である。
白川静の漢字学者としての業績は、
大過ぎて、素人の私には、
評価も何もできないが、
こう言う評論的な文章には、
いつも感服する。
これも、実にしっくり納得できる。
今我が国の伝統は、あらゆる分野で、
動きが微弱になっていて、
虫の息だなぁと思う。
テレビはないので見てはいないが、
ネットに流れてくるオリンピックの、
馬術の会場に撒き散らかされた、
日本の伝統文化の表象と思われる破片。
ぴくりとも生きていない醜い表現に、
恐ろしさすら感じる。
ここに使われているものらと、
なんの関係も持たない、
別の文化圏の人間の仕事としか見えない。