松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

取り替え子読了

取り替え子は、

前読んだ時よりずっと充実した読後感。

面白かった。

蓮實さんが言っていたスッポンで3ページ!

も確かに出てきて、

そこは苦手で少し飛ばした。笑

これは彼の高校時代からの親友、

奥さんの兄でもある、

伊丹十三の死を扱っているが、

事実とフィクションの渾然一体ぶりが見事。

対談本でも出てきたが、

大江さんは最後まで、

原稿用紙に手書きであったようだ。

彼の直筆の原稿の写真を見たことがあるが、

推敲の跡の凄まじさ。

小説家というもんは偉いものじゃ。

今回も出てくる故郷である四国の山奥の村は、

格調高く、粗野で、純真で、

多くの闇を抱え込んだ、

霊気の充満する古代的な別世界。

その方言の語りで存在感の母上が、

主である。

実に、著作に繰り返し登場するこの場所こそが、

私を魅了してやまない。