松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

逝きし、から、自由について

ここから見えることは、

特定の商品だけを専門的に扱う、
小商い的なお店が大変多いこと。
みんながみんな小規模な個人事業主で、
裁量労働制で働いている。
他の所で、外人たちは、
なんか面白い見ものがあれば、
あっという間に仕事を放り出して、
野次馬になって集まってくる。
彼らは仕事に対して不真面目で怠け者だと、
怒っている。
しかし、それこそが、
近代以前の仕事のあり方だろう。
上司も居なければ、
時間に縛られる事もなくも、
物価も安いので、欲張って稼ぐ必要もない。
好きなようにやっている。
つまり自由なのだ。
幸せそうな顔の理由だ。
逆に言えばだからこそ、籠職人は、
思う存分凝る事も、工夫を加える事も出来た。
まじマルクスの言ってる事だよね。

実務的な関係を持った外人たちは、
仕事が捗らない、遅いとイラつく。
しかしまた別の場面では、
急遽大人数の外人のために、
宿舎を整えることになる。
広い部屋をいくつかの個室に変え、
見本を元に、多分初めて見たであろう、
テーブルと椅子を瞬く間に作って見せる。
みな大工や指物師の技術の高さに驚いている。
差物は溝や穴を穿って差し込む、
釘を使わないで組んでいく木工である。
私は以前読んだ刃物やの土田さんの、
本にでてきた指物師の事を思い出した。
呆れるほどの技術である。
オー!ナントイウゴサノナサ!!(外人風に)
この人は有名でもお金持ちでも多分なく、
その仕事を知る人は惜しむだろうが、
もう引退した。
私はに言わせれば、
優れた職人や芸術家が、
地位や名誉に拘らず、前面に出てこないのは、
本人の選択であろう。
何からも自由である事だけが、
仕事のクオリティを担保する事を、
知っているのだ。
私は今の人が自由を求めず、
支配されることに従順である事が、
全ての輝かしいものが消えた、
原因だと思う。