松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

日本社会のしくみ

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この本は欲しいと思っていたんだが、忘れていた。
昨日本屋に寄ったらちょうど目につくところにあったので、
そうそうと思って買ってきた。
私は社会学者の本をたまに読む。
最近2人ばかりクビにしたが、笑
小熊さんは引き続き贔屓にしている。
以前自分の父親の一生を聞き書きで書いた、
「生きて帰ってきた男」を読んだ時に思ったことだが、
こういう個人史でも、
本人の努力、または運、不運などと、
本人もはたの者も理解しがちな事も、
実は個人の行動であってもその時の政府の政策と法整備に、
ぴったりと乗っかって起きていることで、
その背景なしには起き得ない事もたくさんある。
よく時代の流れなどと、まるで自然に起きていて、
逆らえないことのように言うが、
そういう風に流してる人がいるんだよと、
私はずっといってきたが、ここまで露骨に、
そうなんだとは!と驚いたものである。
あの本では個人の一生と、
その時代の社会の動きを絡めて書いていたわけだが、
今回は日本の社会の変遷をたくさんのデーターを、
適切に読み込んで、目から鱗の日本の現代史を書いている。
主に雇用、教育、社会保障などの分野での、
日本の「しくみ」に注目している。

巻頭でこういう風に書いている。
「本書が対象としているのは、日本社会を規定している「習慣の束」である。これを本書では「しくみ」と呼んでいる。
習慣とは、人間の行動を規定すると同時に、行動によって形成されるものである。たとえていえば、筆跡や歩き方、ペンの持ち方のようなものだ。これらは、生まれた時から遺伝子で決まっているのではなく、日々の行動の蓄積で定着する。だがいったん定着してしまうと、日々の行動を規定するようになり、変えるのはむずかしい。」
もう初めから納得の面白そうさであるでしょ?
こう言うのは体の使い方でも言える事で、
ちょっとした癖が蓄積して、
間違った体の状態を作り上げてしまったりするのと同じだなぁ。
そんなんで次々に、なるほどの話が出てくる。
専門書ではあるが一般人にも読めるように、
わかりやすい言葉で書いてあって、素晴らしい。