松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

今朝公園であった犬友と、隣の空き地を見ながら、
あれは杏ではないか、毎年そうじゃないかと思いつつ、
朽ちるに任せるのを見ていたという話になった。
一人ではやらなかったと思うが、
同じ意見のひとがいたので心強く感じて、
じゃあ私見てくると、柵の狭い隙間から出て、
近くに行って調べることにした。
やはり杏で、それも大きい上等の実であった。
そこらに落ちていたきれいそうな実を拾って、
二人でジャム2、3回分ねと山分けした。

杏ジャムと言えば、おじいちゃんがいつも作っていた。
金沢の家には庭に杏の木があった。
私の爺さんは変なひとで、イギリス方面に長く家出していて、
戦争が始まると着の身着のままで強制送還されて、
まだ見ぬ息子とおっかない妻のいる家に、
イヤイヤ帰ってきた人なのである。
その後は特に何もしないでジャムを作っていたのである。
子どもの私に、自分の鼻をさしながら、
のーず、と英語を教えてくれたけど。
ま、教わったのはのーずだけだし、
彼の生活ぶりはあまりよく覚えていない。
かなり不思議な人生である。
我が家には彼がわざわざ持って帰ったシルクハットがあった。
これはどうしても持っていたかったんだと思うと、
なんだか悲しみをさそうね。