松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

愛鳥自伝の続き

やっと上下二巻の自伝を読み終えた。

いやー、最初から最後まで面白く読めた。
この人は私の好きなタイプの人間である。
とにかく思想に共感できる。
親を早く亡くし、父の兄の養子になる。
養父は彼をお坊さんにしようとしたようで、
天台宗の学校に入る。
彼が最初に学んだのは仏教思想であった。
この学校のクオリティが結構高かった。
その後ヨーロッパの文化や思想を、
次々と学び吸収していくが、
思想と産業の圧力で、
アジアを征服しようとする西洋の攻撃性を、
批判的に見るようになり、
タゴールガンジーの思想を通して、
アジアの思想に共感するようになる。
アジアと西欧の考え方の違いの一つに
自然観がある。
征服する対象として、
これを利用搾取することには、
やはり共感できない。
ま、今となっては世界中だけど。
中西悟堂はあらゆる動物と仲良しになる。
犬でも鳥でも蛇でも。
そこにはやはり仲間としての敬意があるから。
人間中心主義とは違う。

今の日本人はアジアの一員という意識は、
ほとんどない。
戦後アメリカに支配されるようになり、
すり寄ってすり寄っているうちに、
同化した気になって、
アジアの国々を蔑視する。
いわゆる脱亜入欧ってやつか。
アメリカなどでアジア人差別が起きても、
自分が差別される側だとは夢にも考えないで、
差別する白人の側に肩入れする人すらいる。
ま、すでにここには、
思想を持ち出す土台もないが。