松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

明月記2

明月記を読むを読んでいると、
「云々」という表現が割と出てくる。
これが出るたびに、私はあのでんでん男を思い浮かべてしまう。
本当に嫌だ。
しかしこれは、まさに言葉の持つ属性であり、
本歌とりや歌枕などの果たす構造と同じである。
過去の有名な歌の一節を取り込むことで、
その歌が表していた気分を重ね合わせる。
また地名などを使って、その場所にかかわるエピソードや、
歴史的事実などをほのめかす。
こう言うことをして一つの歌の意味やイメージを、
何層にも増幅すると言う技術である。
この前はビジュアルイメージのことを書いたが、
それも含めて、言葉というのはそういうものなのであろう。
だからこれをやりだすとキリがない。
定家なんかは頭の中に、何万という過去の歌や、
源氏物語などの小説などが詰まっていて、
あの言葉この言葉が反応しあって、
複雑な化合物が一瞬のうちに出来るのだろう。
アレに関しては、私としては忘れたい。