松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「古都の尼寺」

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ごくたまにこういうことがある。
つい最近読んだ本とその後に読んだ全然別の本が、
偶然急に繋がるという事が。
この本は先だって、お家を建て替える方から、
様々なものと一緒に頂いたものである。
しばらく読まずにいたが、このたび手にとってみた。
中は半分が写真である。
奈良と京都の尼寺だけを紹介している。
中に厭離庵という寺が出てきた。
藤原定家の山荘の跡がお寺になっている。
それも尼寺に。
びっくりである。
定家の塚があると言うが、墓ではないのかな。
息子の為家の墓はあるらしい。
小倉山の麓であり、ここで晩年の定家が歌を選んだ。
小倉百人一首の名前の元である。
定家は72歳で出家しこの山荘に隠棲した。

定家は65の時に若い召使いに子をうませているが、
この子は女の子で尼になるべくもらわれていく。
仁和寺から迎えの牛車が来て連れて行ったと。
良いお寺にもらわれてよかったと喜んでいる。
こういう記述も明月記にはある。
定家も父の俊成も、正確にはわからないほど、
子どもが多い。
父は92歳息子は80歳まで生き、
あちこちに子どもを作り、大量の歌を詠んだ。
甚だ精力的な人間と言わざるを得ない。

「古都の尼寺」今東光著 写真葛西宗誠
淡交新社 昭和36年初版発行
580円(!)