松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

またまた木喰上人

木喰上人は、ひとところに長くは居ない。

一仕事終わるとみるや、大急ぎで出発する。
お堂を建てる時は勧進をして回ったり、
長居する場合もある。
九州で断りきれず(想像)住職になっている。
それも由緒正しい国分寺である。
ところがここで火事にあい、
お寺の再興のために奮闘して、
見事に建て直す。
ここでは10年滞在している。
残念ながらこの寺は、
廃仏毀釈でボロボロにされ、
今は形をとどめない。
故郷丸畑で、88の仏像を彫っている。
これらも散逸してしまったが。
地蔵菩薩、などなど彫り分けて、
9ヶ月ぶっ通しで。
実に84歳の時である。
とにかくすごいのは彫るスピード。
何と1日に二体とかの事も!
像の後ろに日付があるからわかる。
木も楠、銀杏、朴など、
そこにある木はなんでも使う。
生木で彫っているようだ。
マジか…信じられない…
このお上人様は超人的である。
私はこの人にあだ名をつけた。
木喰チェーン僧。

1000体の本願を遂げて、
2000体を目指していた。
柳がこの本を書いている時点では、
300体程しか確認できていないが、
ネットで調べたところ、
全国で700体以上現存するらしい。
最も多く残っているのが、
新潟県と言うから、一度行ってみたい。
私は民藝館でしか見たことがないから。
なんとも言えないにこにこ顔が有名だが、
私は衣や台座、光背なども、
いいなぁと思う。
シンプルで美しい線を描く。

お上人様は、中西悟堂と一緒で、
蕎麦粉を溶いたものを食べておられたと。
行脚の先に温泉場があれば、
すかさず入るお風呂好きでもあったらしい。