木喰上人
昔ならそうも思わなかったかもしれないが、
木喰上人の本を、
しみじみと読んでいる。
何一つ持たない。
家もなく、身一つでさすらう人生。
この人は墨染ではなく、
鼠色の衣を着ていたと。
日本全国のお寺を詣るのだが、
宗派は問わず、神社にもお参りする。
本人の残したメモ帳から、
地名を拾い場所を特定して作った、
地図が出てくるが、北海道から九州、四国、
海を渡る船以外全て二本の足で。
先々で仏像を彫り1000体をクリア、
2000体めに入って93歳でこの世を去った。
好んで小さな村々に赴き、
仏の教えを説き仏像をプレゼントし続けた。
身一つで、全て仏様に委ねれば、
恐れることはなにも無くなり心は安らぐ。
見事な人生である。
柳宗悦に見出されるまで、
どこにも書き残されなかったが、
そんな木食の僧がいたのだった。
まだ読み始めたばかりだが、
今の欲で狂ったようなこの世を見ると、
何という清浄な生きかたかと、
泣けてくる。
そして木喰仏の素晴らしさよ!