松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「ヒトラーへの285枚の葉書」

今日は例の映画を見てきました。
ちょっと行かない間に、
武蔵野館はすごく綺麗に、かつ、
おしゃれな感じになっていてびっくり。

映画はなかなかいいと思いました。
主人公のオットーが、
デブなのはどうしても気に入らなかったけど…
原作は小説としては割に長いもので、
近隣の住人についてもそれぞれ非常に詳しい描写がある。
ああいう時代には、上の方は上で悪いんだけど、
ほんの小物が、ささやかな小金のために告げ口をしたり、
自分の身の安全のために簡単に人を裏切る人や、
上から責められ下に報復的に強く出る人など、
あらゆる人が、悪い方に悪い方に動いてしまう。
そういう時代の空気をしつこいほどに書いていた。
だから一枚のカードを置いてくるだけで、
読む方も実に緊迫感があって、ドキドキした。
映画では一定の長さの中で収めるため、
どうしても細かい話ははしょってしまう。
もちろん映像の力はあるんだけど。
ドイツというのは街の様子にしても、
家のインテリアにしても、お天気も、
暗めで重めで、うーんドイツだなぁと思ってしまう。

朝一の回だったけど、土曜日なのにガラガラ。
もっと見られてもいい映画だと思う。
小説の中にそんなセリフがあったか覚えていないが、
オットーが危険を冒してまで行動することで、
かえって自由になった気がするというようなことを話すのが、
印象に残った。
彼らが堂々と処刑されて死んでいったのは、
あれは自由の強さなんだな。