松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

歩くこと、ノマド

山を歩くといつも思うが、
歩き出さないと到着しないし、
登れば下りなきゃならない。
ま、平地でも同じことだが。
自分が登っている時は余裕がなかったが、
下ってくる途中で、ずいぶんしんどそうな人もいた。
でも彼らもなんとか一歩一歩歩いて、
ちゃんと着いたのだろうと思う。
昔のお遍路さんなどは、
実際病気の人も歩くのであったし、
足の立たない人はいざって進むのである。
それでも歩き続ければいつかは到着する。

行ったら帰らなきゃならないという方については、
我々のような定住民ではない、
ノマドの人々はどういう感覚を持っているのだろう。
緩やかな範囲で、やはり帰る場所というものがあるのか、
それとも特定のコースのない全くの放浪生活もあるのか。
トァレグ族やロマの人の話など読むと、
移動を規制されることは非常なストレスらしい。
チベットの先生の中でも、
我々はもともと移動する民だから、
こうして別の土地でやってこれたという言葉もあった。
ふるさと的なものは、土地そのものではなく、
文化や生活様式を同じくするコミュニティの中に、
求めることもできるのかもしれない。