松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

畏れながら、

読み終えた。

この前も書いた通り、要素が多いので、

一冊読んだとは思えぬ、充実感。

呆れるほど隅々まで行き届いていて、

あの凄まじい手書き原稿が思い出される。

瑣末な事で面白かったのは、

主人公が蔵の中で翻訳している本が、

どこから見ても間違いなく、

ダレルの「虫とけものと家族たち」であること。

この本はこれが書かれた時点で、

もちろん既に出ているが、

日本で翻訳が出たのは、

ずっと後で、訳は池澤夏樹である。

本書では、この本が出版され、

書評で推奨してくれた人物から、

アフリカに派遣される動物採取隊の、

通訳の仕事のオファーが来ることになっている。

なぜこれを選んだのか。

暗い色調の本の中に出てくる物としては、

場違いなほど愉快で明るい楽しい本だし。

結論としては私も畏れながら、

大江健三郎は偉大だ!

とつぶやきました。