松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「樹木の恵みと人間の歴史」

なかなか進まないが、

木の本は素晴らしく面白い。

著者は庭師で、

台伐りという剪定法を知るために、

いろいろ調べるが、

アメリカでは、もはや廃れ、

知識と技術を持った人がいなくなっていた。

そこで、今もこれが生き延びている場所を、

目指して旅に出る。

イギリスや日本にも。

台伐りと言えば北山杉の台杉を思い浮かべるが、

そこには行っていないようだ。

炭焼きの所にはいっている。

台伐りというのは、

木を根元からではなく、途中で伐る。

そうすると、そこから、

新しい細いえだがたくさんでてくる。

萌芽更新と言われるもので、

人間は石器時代から、この方法で、

木を手入れし、さまざまな用途に使っていた。

まさに持続可能性のお手本のようなものである。

最初に訪れたイギリスの話も面白い。

ピートというものがある。

泥炭というやつで、石炭にはなってないが、

乾かすと燃料になる。

イギリスの海抜の低い沼地には、

いくらでもあるらしい。

これを掘っていると、水の中から、

新石器時代からの考古学的遺構が、

ゾロゾロ出てきた。

著者曰く、石は残りやすいから、

石器時代と言うけど、

木器時代がふわしいのではというほど、

木を使った、

杭、床、衣類、柄杓、人形だの、

ゾロゾロ。

湿地のうえを人が通れる道路にするための、

木を編んで作ったパネルが出てくる。

これは、台伐りして出てくる、

細い均質な枝を密に編んだもので、

羊の蹄でもちゃんと歩ける、

湿地の舗装道路の役目をした。