松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「世界の使い方」から亀

「世界の使い方」から少しだけ紹介する。


二人はフィアットのトポリーノ、

その名もねずみというすごく小さい、

可愛らしい車で旅をしている。

これが当然のことながら、

峠は越えられないし、

しょっちゅう部品は壊れるし、

ま、クルマに関係する、

驚くべき災難は数知れずである。

よく死ななかったというレベルも含まれる。

見渡す限り褐色の大地を、

走っていたとき。

こつん、こつん、妙な音が聞こえてくる。

二人はてっきり車のトラブルと思い、

ゾッとしてエンジンを切る。

ところが音は止まない。

なんと音の正体は、亀!

「道端の斜面の先の大地が、夥しい亀に覆い尽くされ真っ黒になっている。」

それは、亀が交尾をする時の、

甲羅のぶつかる音だった。

そんな情景がこの世にあろうとは、

考えたこともなかった。

この本の中には私には、

目に浮かべることが難しい、

想像を超えるスケールの風景が、

たびたび出てくるが、

この亀には本当にびっくりした。

全くしらないことは想像もできないから、

私にとって無いと、同じことだ。

しかし、世界にはこういう事も有るのだ。


続く