林檎のこと、
リンゴを剥いていると、
よく宮本さんのことを思い出す。
小学校の同級生である。
大の仲良しと言うわけではなかったが、
入学して初めて、
お家に遊びに行った子なので、
印象が強いのだと思う。
そのお宅でお母さんがおやつに、
リンゴを剥いてくれた。
私は少しびっくりしたのである。
どこかぎこちない…
私は四人姉妹の末っ子で、
母は少し年も食ってプロの貫禄があったが、
宮本さんのお母さんは、
若くてぽっちゃりした綺麗な人で、
まだまだ若い母親だった。
彼女が長女で、下に幼い弟がいた。
あぁ、こんなお母さんもいるんだなあと、
初めてわかったような気がした。
宮本さんは元気だろうか。
今や私は、当時の宮本さんのお母さん、
自分の母の年齢も完全にオーバーした、
おばあさんになっている。
そして凄い勢いで、三つ四つのリンゴを、
あっという間に剥いてしまう。
料理の段取りはどんどん早くなる。
この分野は、
物覚えの悪さや数字に弱いところなどは、
あまり悪影響を与えないようなので、
ありがたいことである。