松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

おまけ、植物について

おまけとして、江戸時代の、

植物への熱心について。
ここでは中尾佐吉先生の引用が多い。
「秘境ブータン」の著者である植物学者。
きのこの相良先生がブータンに行く時、
王様への紹介状を書いてくれた、
あの先生である。
花見といえば今は桜だが、
この頃は花暦と言って、
梅、藤、牡丹、ツツジ、菊、紅葉など、
季節ごとに、人々は花見を楽しんだ。
先生によると、
花卉文化の大衆への普及は元禄頃で、
西欧より200年早い。
椿とさくらの品種改良はなんと室町からで、
高木性の大改良は世界に見当たらないと。
江戸は花卉文化の大センター、
とにかく庭園が多かった。
大名屋敷付随のものだけでも1000、
後楽園、六義園クラスのものも300。
外人たちは、
江戸は無限に広がる巨大な公園のようだと。
飛鳥山、品川御殿山、隅田川堤、小金井堤、
これらの名所の桜は、
将軍吉宗の植えたものという。
また、草花を自分で育てて楽しむ文化も、
武士たちがリードした!
彼らは暇に任せて、笑!
愛好者のグループを結成し栽培に精を出した。
ここで出た!
武士に大人気、現在「古典園芸植物」と、
呼ばれているもの。
マツバラン、イワヒバ、オモト、など、
大いに発達した鉢物である。
いずれも赤や黄色の花が咲くわけではない、
一言で言うと実に地味な植物である。
これらの観賞や栽培は、
生き方、教養が問われると!
武士、どんだけ…
オモトは、我が実家にもあった。
釉薬のかかった脚のついた鉢に入っている。
大振りのと小ぶりのがあった。
母は特に気を入れて、
世話もしてないようだったけど、
誰々さんにいただいたオモトと、
言っていたから、
贈り物に使われた感じがする。
渋いものだが、さぞや奥が深いんだろう。
欧米ではあまり理解されないというが。
2度来日し、意地汚いほど買いまくった、
イギリスのプラントハンター、
フォーチュンは、
「斑入り」の葉には注目していた。
この本には触れられていないが、
盆栽も盛んだった。
中国からだいぶ前に入ってきていた。
徳川家光はこれが好きだったらしいが、
彼の盆栽が、今も元気で芽吹いている。
松のお二人は齢500年とか550年と。
盆栽はそもそも中国で生まれた時から、
宗教的な世界観を現した、
哲学的なものであるが、
うーん、なかなか…

「逝きし世の面影」渡辺京二