松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

腰が抜ける、

新しい「世界」を読んでいて、

凄くショックをうけてしまった。
ま、よくある事なんだけど。
エリック・ホブズボームという歴史家の、
伝記本を三宅芳夫氏が解説している。
私はこの人の本は読んだこともなく、
全く知らなかったのだが、
なかなか凄い人である。
しかしショックを受けたのは、
第二次大戦についての部分。

「ホブズボームを含め、
当時の人々を驚かせたのは、
ヨーロッパ最強の陸軍と言われたフランスが、
開戦6週間で、あまりにもあっけなく敗北し、
なんの迷いもなくヒトラー服従した事。」
(意訳)
ここには続けて具体的にドイツ軍と、
英仏連合軍の戦力の比較、兵士、
戦闘機、戦車などの数が出てくるが、
ざっくりドイツの2倍である。
この負けは軍事力ではなく、
「精神的なもの」であるとも!
実はフランスでも、
さまざまな極右団体が伸長し、
極右作家も読者を獲得しており、
フランスの社会は「反ファシズムの合意」
が全く形成されていなかったと。

ここでまたペレイラに戻っちゃうんだけど、
あの本の中でペレイラは、
ドイツはあんなでイタリアもあんなで、
スペインもあんなで、
ポルトガルさえこんなで、、
フランスを見ろフランスを!
ちゃんと知識人が、
ゲルニカ空爆に抗議したではないか!
という論調であった。
カルドーソ先生もフランスに逃げ出したし。
タブッキもそう考えていたと言うことだろう。
でも実際は、
フランスの右傾化も、
いい勝負だったということだ。
ナチスをやっつけようと言う、
モチベーションはなかったと言うこと…

そして恐ろしいのは、この続き。
ドイツ軍の中でも戦力の差は分かっていて、
勝てないだろうという前提で、
ヒットラーを失脚させる、
クーデターの準備があったらしい。
フランスが降伏させなかったにしても、
ドイツ軍を劣勢に追い込んでいれば、
ヒットラーは倒されただろう。
「そしてほぼ確実に言えることは」
アウシュビッツは無かっただろう、と。
なんということですか…