松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

バスク

アコーディオン弾きの息子」は、

なかなか凝った作りの、
中身の濃い小説であった。
著者のベルナルド・アチャガは、
バスク語でこれを書き、
訳者の金子奈美氏は、
バスク語から訳している。
日本でただ一人のバスク語訳者だろうか。

バスク語フランコ政権から、
使用を禁止され虫の息だった。
近年人々の努力により復活をとげ、
とは言え現在100万人程の人が、
話している言語である。
この本の著者は復活に貢献した作家である。
中で、所々カタカナのルビがふられているが、
とても不思議な音で、
私の知る限り何とも似ていない言葉である。
言葉が消えると、
考え方文化などが次世代に引き継がれず、
そっくり消えてしまう。
それを母語にしている人たちが、
大事にしている限り、
話すなと言う権利は誰にもない。
しかし帝国主義の歴史では、
どこでもこう言うことをやってきた。
日本も韓国でやったし、
中国は今もモンゴルでやっている。
ナショナリズムに関してなど、
意外に難しい問題山積みの本。