松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

ペレイラの続き、また

さてここで先日読んだ、

著者タブッキ自身による言葉である。
(牧野素子氏の研究ノートから引用)
ポルトガル語で《ペレイラ》は「洋ナシの 木」を意味する。イタリアでユダヤ系の名字が 都市の名に由来するのと同様に、すべての果樹 の名はユダヤの出自を表す名字である。この名 前で、ポルトガルの文明に偉大な足跡を残しな がら、歴史の極めて不当な行為の犠牲になった 民族に敬意を表したかった。」
なんとペレイラユダヤ人であると言うのだ。
これは考えもしなかったが、
作者がそう言うのだから間違いない。笑
だって本の中で彼は、
自分はカトリック教徒であると言っているし、
数少ない友人であるアントニオ神父を、
時々訪ねておしゃべりをする。
改宗ユダヤ人と言われる人らしい。
ユダヤ人と言う意識は薄めで、
完全に溶け込んで暮らしていた人たち、
こう言う人たちも当然沢山いた。
ある時電車で一緒になったご婦人、
今はドイツ人だが昔はポルトガル人だった、
そしてこれからアメリカに行こうとしている、
と語る。
パレイラは、あなたはユダヤ人ですかと聞き、
女性はそうですと答える。
ここでも自分もそうだとは言わない。
この女性は賢くて鋭くて、
この状態がいいとは私も思わないと言う、
ペレイラに、あなたは知識人なのだから、
思うところを書いて発表すれば良い。
やれる事は沢山あると言う。
ペレイラは弱く言い訳をする。
彼の上司は、
旗竿の様に腕を上げて挨拶をする系の人で、
書くものは厳しく検閲されている。
続く。