松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

ペレイラの続き

「供述によると、ペレイラがはじめて彼に会ったのは、ある夏の日だったという。」

これがこの本の出だしである。
この書き方で最後まで続く。
ペレイラさんは、なんだか知らんが、
彼という誰かが関係している事件で、
逮捕されて、
訊問されているということがわかる。
今回再読しようと思ったのは、
ペレイラのいた頃のポルトガルの、
時代背景を確認しようと考えたからである。
設定は1938年。
ヒトラーオーストリアを併合した年で、
悪夢の加速の始まりの頃である。
スペインでフランコの軍の、
スペイン内戦の始まりは、1936年。
そんな中でポルトガルは、
追従する体制をとっている。
ペレイラは文芸欄担当の新聞記者。
妻に先立たれ一人暮らし。
太り気味で汗っかき、心臓が少し悪い。
見習いを一人雇おうとして、
ある青年と接触する。
この彼と恋人の二人が、
反政府の活動家らしいのである。
とても使い物にならない、
過激な原稿を書きつつ、
行方をくらまし、最後には、
彼の家に転がり込んで来たところを、
なんと殺される!
ペレイラはなんでこんなヤバイ若者に、
振り回されなきゃなんないんだ、
と自問しながら、
お金を与え、ご飯をおごり、
頼まれ事は一つも断らない。笑い

話が意外に複雑になったので、
次回に続く。