「治したくない」2
私は精神障害について詳しくないが、
世の中のお医者さんもどうもよくわからないみたい。
だってこれを読むと、何より、
安心できる落ち着ける普通の生活が、
一番効くって、感じみたいだから。
症状のバリエーションも様々で、
人によってどういう状況が一番安心できるかも違うから、
サポートする人たちも、これはどうだ、
ダメならこうやってみたら、と頭をひねって考える。
大変なお仕事と思うけど、
なぜかみんな妙に楽しそうで、笑いが絶えない。
中学生の時に発症した男性の話は素晴らしい。
いろんな症状がありそれも重く、
とても退院できないと思われていた人だ。
人生のほとんどを病院で過ごした人、
しかし今は自立して、7年間入院していない。
彼が先生と話している会話が丹念に再現されている。
その中で、今は幸せかと聞かれ、
幸せだと答える。
寝て起きてちゃんと食べて顔洗って、
自分のことが自分でできること、
少しづつ考えたり悩んだりできるようになった。
それが嬉しいと。
また日本語が上手くなったとも。
彼はグループホームで、生活支援を受けながら、
他の仲間と助け合って暮らしている。
いろいろな人と関わる中で、言葉が使えるようになった。
言葉が増えれば考えること悩むことも出来てくるのだろう。
これはすごく大事で、自分で考えて自分の状況がわかると、
人に助けを求めることができるようになる。
こういう落ち着いた生活ができるようになると、
症状は出なくなるらしい。
人それぞれに合った支援をするわけだが、
先生曰く、応援する人の中にしっかりした、できる人は、
ちょっといればいい。
普通の頼りないような人がいっぱいいて、
良い支援ができる。
質より量だと!
統合失調症で妊娠した女性に対して、
彼女とまだ生まれていない赤ちゃんに、
怒涛のような支援が、
情報が入って直ぐに繰り出された様子は、
本当に見事だった。
みんなあれこれ相談したり、
先のことを考えたりもせず、
一気に即座に動く。
やがて生まれた赤ちゃんはみんなに可愛がられ、
まだ幼いその存在によって、
母親の症状を落ち着かせる力を発揮する。
先生が言いだして田んぼを借り受けて始めた、
米作りも素晴らしい。
田植え稲刈り収穫祭は地域の人にも開かれている。
精神障害のない、いわゆる健常者にも、
困難を抱えた人はたくさんいる。
先生の仕事は、地域へ、健常者へと広がっている。