松井なつ代のやま

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栗羊羹

近江八幡の高級そうな和菓子をもらった。
その中の栗月下という羊羹は、
全身栗、こくこくした感じも、
まさに栗そのもので大変美味しかった。
それを姉に教えてあげたら、
あそこらは栗の産地やろ、
芭蕉の山路は栗のいがの多きに
月読みの光を待ちて帰りませ
と言うのがある、と、なんか学のあるところを見せたので、
すっかり感心したのだが、その後、
でもこれ長いじゃん、俳句と違うじゃん、
芭蕉じゃないやろ、と言う疑いが芽生えた。
気になって調べてみたら、
なんとこれは良寛の歌であった。
良寛さまなら感じとしてわかる。
しかし近江八幡は確かに芭蕉の好きなところだったし、
栗の句もあった
夜ひそかに虫は月下の栗を穿つ
行あきや手をひろげたる栗のいが

「栗月下」は確かに芭蕉から取ったのだろう。
小松に「月よみ山路」と言うこれも美味しい、
栗蒸し羊羹があるが、
こちらは良寛からとったのではないか。
和菓子の名前一つとってもなかなか、
深いものがある。
今まで恥ずかしながら何ぞげに食べておった。
さすがに私の姉だけあってちょっと抜けていたが、
おかげでいろいろわかって良かった。
確かにわらじなどは弱いものだから、
いがを踏んだらえらい目にあうだろう。
栗繋がりでちょっとモンテレッジョの事も思い出した。
ローマの頃も彼らは革底のサンダルだったから、
こちらはま、踏み抜く事はあるまい。