松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

ハリガネムシ

たまたま読んだハリガネムシの話がすごすぎて、
興奮気味であるので、ぜひかいつまんで、
書いてみようと思う。

まず、紀伊半島の渓流に住む魚が栄養の6割を、
カマドウマに依存しているという事、
これだけでも異常な話です。
カマドウマ単独ご指名で6割!!
なおかつ、カマドウマは水生昆虫ではない。
別名便所コウロギともいう奴で、私も見た事があるが、
なぜあいつが川魚の餌になれるのか?
答えは、カマドウマは寄生虫に脳を乗っ取られて、
川に自ら飛び込むのである!!

寄生虫が人の性格を変えるという話は、
以前細菌の本でちらっと読んだ事はある。
ほんと?て感じだったけど。
カマドウマを操る寄生虫ハリガネムシという線虫で、
長いものは20から40センチにもなる。
表面はクチクラでできていて、写真で見る限り、
ツルっと硬そうでハリガネそっくりである。
こいつは川の中で交尾して川の中で生まれる。
子どもは水の中をフラフラしていて、
ざざっと大雑把に飲み込む感じで食べられる。
食べるのはカゲロウの幼虫などで、
これらは羽化して飛んでいく。
その時に川沿いで死んだものなどがいて、
それを夜な夜なカマドウマが食べるらしい。
カマドウマの中で成長したハリガネムシは、
川に帰って子どもを作りたい。
そこでなんとかいう物質を作ってカマドウマの脳に作用し、
カマドウマをまんまと川に飛びこませるのである。
全くすごいストーリーで信じられないけど、
こうして陸と川をつなぐ食物連鎖の輪ができる。
まだまだわからないところもいっぱいあるらしいが、
寄生虫が生態系の中で果たす役割は、
ものすごく大きいらしいぞ。
こんなすごい仕掛けのある地球なのに、
何も解明されないままいろいろ絶滅しちゃったら、
あまりにも勿体ないだろう。

これはナショジオ日本版の連載
「研究室に行ってみた」の佐藤拓哉先生の回。
興味ある方は読んでみて、長いけど。