松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

世界5月号よりおしまい

1970年代に日本のコウノトリは野生状態で絶滅した。
そして最後のコウノトリが住んでいたのが豊岡市であった。
絶滅の恐れがある段階から、
市は再生プロジェクトに取り組んでいたのだが、
どうしてもうまくいかなかったわけだ。
ところがその後1989年にロシアから送られたつがいが、
飼育下で繁殖し、ついには放鳥から野生復帰に成功する。
コウノトリたちのために、無農薬の田畑を広げ、
オタマのために田んぼの水を残す、魚道を作るなど、
コウノトリの餌となる生物が生きていけるような、
様々の工夫を実践してきた。
ここでとれたお米が人気を博し(出産祝いなどで)
経済的にも成り立つ環境政策となった。
コウノトリが生きていくための工夫は、
他のたくさんの生物種の保全につながった。
これね、恥ずかしいから一回だけ書くけど、
「夢のある動物」だから成功したっていうのもあると思う。
でも見た目が地味な水生昆虫も、目に見えない土壌細菌も大事。
みんな繋がっているんだから。
農薬やめて水路のコンクリート護岸やめたら、
一気に動植物の層が厚くなると思う。
人種差別は無しやで。

昆虫の種の激減がニュースになっても、
人はあまり動かされないように思う。
ノートルダムの再建には、
瞬く間に巨額の寄付が集まったらしいが、
虫もいない、虫をあてにして進化してきた植物もいない、
荒廃した地球上に、
新品のピカピカのノートルダムが建ってても、
それってどう?
文化財は大事だけど、命あってこそ。