松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「スエロは洞窟で暮らすことにした」

訳者よりご恵贈を賜り、
「スエロは洞窟で暮らすことにした」
を読みました。
私はいつもスクリプタを読んでいるので、
広告でおもしろうそうだなぁと思っていた。
マークボイルの無銭経済宣言にも、
ちらりとお名前は出てきたし。
大変面白く読みました。

スエロと言うの本名ではない。
スペイン語の土と言うの意味の言葉を、
名前にしたらしい。
この人はアメリカ人でキリスト教原理主義の、
それもかなり熱心な信者の家庭に生まれている。
自身がゲイであることが判明し、
これは当然家族の中で大きな問題となる。
鬱との戦いも有り、最終的に、
最後の所持金を電話ボックスに置き去りにして、
金無しの人生を始める。
非常に知的で真面目な人。
マークボイルの元気で明るいマッチョな感じとは少し違って、
デリケートでセンシティヴな個性の人である。
様々な宗教に関して、
大変な勉強と経験を積んだ上でのことである。

この本を読んでキリスト教原理主義のガチガチの両親と、
スエロが最終的に非常に暖かい家族の繋がりを、
維持し続けていることに驚きました。
こういうことがあり得るとは!
宗教と言うものはいろいろあるし、
その中でもまたたくさんの宗派に分かれているわけだが、
創始者の人たちの考え、教えというのは、
基本的には似ているわけです。
ま当然といえば当然です。
しかしこれを自己愛に流されて、
自分に都合のいいような解釈をしたり、
平気で重要なある部分を無視したりする人が、
信者の中でも大半であるのだろう。
スエロのようにまっすぐにその教えを受け取る人にとって、
宗教の違いはあまり問題にならないし、
同門であろうが間違った解釈をする者こそが、
問題であるということだろう。

お金の物語を捨てる人の共通点は、
嘘が嫌いということだろう。
少なくとも自分に嘘がつけない人だ。
にも関わらず、いい加減な我々を、
厳しく糾弾しない寛容な人たち。

精進します。