松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

遺伝子組み換え4

シスゲネシスという手法で、
遺伝子組み換えジャガイモを開発したヴォッセンは、
オランダのヴァーへニンゲン研究所に勤務しているが、
知的財産を研究所で保持し、
企業の独占的な使用を禁じている。
ヴォッセンはグリンピースに対して、
「私たちは農薬を減らすことを望んでいるという点で、
彼らと同じ目標を持っている」と語る。
グリンピースはどう答えるのか。

現在の新しい技術や研究の成果は、
どこがどういう考えで利用するかという部分が、
非常に重要である。
先に書いたようにモンサントは、
アカデミックな研究者には真似ができないような、
桁違いの資金を投入して研究開発しているが、
彼らはこれを多分独占的に使うだろう。
今までそうしてきたように投資した分以上に、
たっぷり回収しようとするだろう。
自然の力を利用した、病害虫対策は、
理想的だが、その細菌を使うために、
多くの農民が多額のお金を払わされるのは、
疑問である。
そうなることで個人のお百姓は排除され、
農業分野もまた、
大資本の独占の体制になっていくだろうから。

この本ではワクチンの話も取り上げられているが、
医療や薬学の分野も同じで、
売れる儲かると思われるところに資金は回り、
病気を治すためとか、人々が飢えないためという、
本来の目的から外れてきているのは、
確かだと思われる。
オランダは小さな国だが、生物学の分野でも、
多くの有名な研究者を輩出している。
先日来紹介してきた、チンパンジーの研究者も、
オランダ人だったし、
海に漂うプラスチックを回収するシステムを、
考えた高校生もオランダ人だったと思う。
なかなかのイカすお国柄である。

遺伝子組み換えは難しいと思っていたが、
実は大元の考え方と言うか倫理観と言うか、
哲学の問題なんだな。
この社会を動かしている資本主義の、お金の暴走が、
何よりも難しいのだとつくづく思った。
モンサントはドイツのバイエルと合併し、
この分野でますます巨大な企業になったが、
これからどうなるのか。

とりあえずおしまい。