松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「春の城」読了

やっと「春の城」を読み終えた。
途中でちょっとだれてしまって、
他の本に先を越されたが、
読み終えればこれはこれで、
誠に石牟礼さんらしい島原の乱であった。
先日九州に行った訳だが、
島原半島には目の前まで行きながら、
足を延ばすことができなかった。
やはり原城跡を歩いてみたかった。
各々が自分の家を捨て、3万を超える人々が集まり、
この城跡に籠城して、天下の徳川幕府を向こうに回して、
戦い、全滅したのである。
戦国時代の殿様の戦争では百姓は動員されるが、
自らの意思で戦う訳ではない。
このキリシタンたちの戦争では、
武士も、船乗りも、漁師も百姓も、
いろんな立場の人たちが混ざり合って
老いも若きも男も女も戦った。
とても本当にあったこととは信じられない。
この本にもいろいろ出てくるが、
攻めたほうの陣営の古文書に、
生々しい文章が残っている。
彼らにとっても、
信じられない様な出来事であったように思われる。
矢文で投降を促したりするが、
その返信がまたなんというか、
すっきりシンプルな清々しさで、
潔いとはこういうことかと驚かされる。
原城跡から見つかったという、
あの不揃いの鉄砲の弾が思い出される。
もう一度九州に行きたいなぁ。