松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

九州の旅7

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私は郷土玩具が好きで、
張子や土人形をいくらか持っている。
東京の大きな民芸屋さんに行けば、
全国のものが少しは買えるが、
こういうものは基本的に地元でしか手に入らないもので、
そこがいいのである。
(最近はネットで買えるらしいが…)
私はあまり旅人ではないので、
各地で手に入れる機会は限られるが、
出かけた時は一つくらいは見つけたいと思っている。
今回買った古賀人形は、土人形界の有名ブランドである。
駅前の長崎物産館で、
かなりまとまった数の古賀人形を見つけた。

古賀人形は実に400年ほどの歴史がある。
現在の作者は18代と19代目の人である。
古賀村というのは大村藩、のち島原藩の地域で、
人形を作っている小川家の先祖は、
大村藩の武士であったが、浪人になり、
古賀村に居を構え農業の傍、
土器や祭事人形を作り始めたとある。
自宅は武士つながりで、
諸大名のお休み所となっていたというから、
立派なお屋敷であったものだろう。
行ってみたい気もする。

古賀人形が素晴らしいのは、
色が昔から変わらないという事。
赤だけは変わったらしいが。
各地の伝統的な玩具でもいま手に入るものは、
染料が変わって発色が強すぎて、
色気がどうしても気に入らない場合が多々ある。
私の買った小さい方は、「馬乗り吉利支丹」
これは天和年間(1681から1684ねん)
江戸幕府で言うと綱吉の時代からある人形である。
ずり落ちそうな吉利支丹が素晴らしいやろ?
26聖人記念館では古賀人形の聖母マリアを見た。
赤ちゃんを抱いた、
日本人のお母さんにしか見えないのであるが、
隠れ切支丹はそれをマリア像として、
密かに大事に拝んでいたものであろう。
実に各方面で必要とされる人形を作り続けた小川家であった!
もう一つは、古賀人形の代表的な、
したがってよく目にしていた有名なもの。
説明書きを見ると、
中国船の船頭ツンクワンロシクワンは、
唐人屋敷で退屈を紛らわすため、
シャモを飼って可愛がっていたという、
その姿であるらしい。
この人こそはツンクワンロシクワンである!

また来る機会があるとも思えないので、
思い切って二つ買った。
うれしいぞ。