松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

贈与の関係

貨幣経済の世界では代金の支払いをもって、
関係は終了する。
一方贈与経済の世界では、終了という事がなくて、
関係は永遠に続くと言える。
永遠と聞くとちょっとギクッとするが、
家族というものを考えると、そうなんかなぁと思う。
お母さんは赤ちゃんにおっぱい一飲み10円ね、
とか昼のうどんは300円などと食事の代金を請求しない。
親は子どもを大概はただで雨露から守ってやり、
寒ければセーターを着せてやり、などと、
全て無料で提供する。
つまり贈与である。
そして希望の種になってもらったり、
心配の種になってくれたりするわけだが…
(基本的に贈与は見返りを求めないが)
贈与の関係を持ってしまったら最後、
縁は永遠に続く。
関係の濃淡はあるにしても、
無関係ですと言いきることは難しい。
家族の単位が非常に小さくなっている現在では、
難しさも場合によってはあるし、
逆に家族の繋がりの強さを見越して、
全てそこに押し付けるという、
政府がでてきたりするわけだが。
家族のような贈与の介在するコミュニティが、
ある程度大きいと、生きていく上で、
非常に都合がいいのではないか。

昨日はたまたま友人の息子が始めたお店に、
かっこいい今時のバルだが、
やや場違いなおばさん四人で行ってきた。
このメンバーは実は子どもの幼稚園時代のママ友である。
子どもが小さい時は、なんかあれば預かり、
おやつを食べさせ、喧嘩をすれば叱るという事を、
やってきた。
ベビーシッターのような貨幣は介在しない。
これこそ、お互いさまという贈与の関係である。
贈与の関係は長く続くというのの見本だなぁと思った。