松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「職人の近代」5

メキメキ頭角を現して、
是秀はちょっと別格と言う程の名工になって行く。
この本にはいろんな面白い人が出てくるが、
やはり断トツでこの是秀自身が面白い。
優秀なストイックな職人でありながら、
非常に素直な自由な心を持っているというのか、
時に非常識、型にはまらない所がある。

この本の重要なキーになっているのは、
是秀の作った切出し小刀である。
大工道具とまでは言えない、
便利にちょっと使うナイフである。
鑿や鉋と違い役割にシビアさのあまりない道具である。
是秀は機能と全く関係のない装飾を施した、
「デザイン切出し小刀」とも言うべきものを、
たくさん作っている。
これがすごく可愛いんだ。
私はお魚型の小刀がものすごく欲しくなった。

私の母は自分でも刃物が好きと言っていた。
料理好きでもあったので包丁は大事にしていた。
日本橋木屋の梅次という包丁を愛用しており、
私も前のがちびた時にこれを買った。
この包丁は毎日使っている。
そしてもう一つ私がよく使う刃物は、仕事で、
ステンシルの型抜きをする時に使うカッター。
ご存知、大量生産の工業製品である小刀である。
安いものだが、刃にはそれなりにこだわっていて、
黒刃の鋭角に折れるタイプをまとめ買いしている。
ここで、この是秀のデザイン切出し小刀、
出番じゃないか!と思うわけです。
パチンと折るかわりに、砥石で丁寧に研いでやって、
これを使ったらどうだろうか。
写真で見る限り刃の角度とか凄く理想的で、
小回りが効きそうなんだけど!
今もあれば一本ゲットしたいが、
凄く高いんだろうな…それに私じゃ、
是秀の使い手資格試験に合格しないかも…

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