松井なつ代のやま

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水道民営化2

水道民営化と聞いておもいだすのが、
過日の電力小売自由化である。
これは大手が送電線を握っているので、
現在の状態が理想的でもないし、
そもそも電気を大きな施設で大量に作り、
送電線を使って遠くに送るという方式はロスが大きすぎて、
正しいとは思わない。
電気は小さい施設でこまめに、利用する場所の近くで作るのが、
本当は一番理にかなっている。
しかしながら電気の場合この小売自由化で、
購入先の選択肢は増え、サービスも多様になったとは言える。
しかし、水道の場合話は全く違ってくる。
送電網と違い、水道管は1系列しかないため、
民間企業がやるとしても、一社独占にならざるを得ず、
競争原理は働かない。

今回の我が国の水道法改正案の注意すべきポイントは、
「広域化」「料金変更届出制」
「コンセッション契約」であるという。
政府は周辺自治体丸ごと水道事業の合併の際は、
厚生労働大臣の認可は不要であるとし、
できるだけ広域化させようと狙っている。
水道管理業務受託者は、厚生労働省の許可は必要なく、
届出だけで料金の変更ができる。
そして水道施設の所有権は自治体のままで、
運営権だけが民間企業に移行するのが、
「コンセッション契約」と言われるものである。
税金を投入した施設をそのまま使い、修復の際は自治体と分担、
企業が一番儲かる条件である。
インドネシアやフィリピンの森林破壊も、
このコンセッション契約が原因であるという。
企業は森を破壊尽くし立ち去る。

どこの政府もネオリベとお友達で、
こういう事をやりたがるが、
日本の場合特に何の条件もつけずに喜んでやると思われている。
そして日本の国民は抗議しないと思われている。
再公営化は全て市民の強い抗議で実現したのである。
抗議運動で市民の側の死者さえ出ているところもある。
遺伝子組み換えにしても、農薬にしても、
原発にしても言ってみればみんな同じである。
他では抵抗があってできなくなった事を、
日本は押し付けられている。
GM小麦はアメリカでは国民の抵抗が大きいから、
日本で食べてもらうと、はっきりアメリカ人は言っている。

政府に抗議する人は必ず同じ市民の批判にさらされる。
悪質な性犯罪でさえ被害者が叩かれる国である。
ここが変わらない限り、
日本は完膚なきまでに搾取され尽くすだろうと思う。

(ビッグイシュー掲載の関良基氏の記事からのまとめです。)